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障がい者ライフプラン障がい者とその家族のためのライフプラン

 このコーナーでは、自閉症や知的障がいといった障がい者とその家族に特有の内容のほか、一般的なライフプラン作成にも関わることを紹介しています。例えば、家族の中で認知症や判断能力がなくなった方がいる場合、介護が必要な方がいる場合、ひきこもりの方がいる場合など、基本的なライフプラン作成の考え方は共通するものがあります。

 ここでは自閉症や知的障がいについての医学的な見地や個別の学校選択・教育方法・指導方法などについては触れないで、ライフプランを作成するFP(ファイナンシャルプランナー)の立場、また経験などをもとにご説明させていただいています。

 少し違った視点からの「障がい者と家族のためのライフプラン」ですが、ご参考にしていただければ幸いです。下記の内容は、法改正等によって変わる場合がありますので、実際の制度ご利用時は、公的機関などにご確認してください。


ライフプラン作成

 ライフプランの作成方法として、まずライフプランを作成する上で必要な情報や将来の目標・夢などを整理しそれをもとに年表式のキャッシュフロー票を作成します。キャッシュフローを作成することによって、見直しをすべき部分があれば、その点をどうやって見直していくか検討します。
 キャッシュフロー表では、年表式に毎年の収支(収入ー支出)を出し、貯蓄残高(収支累計)を把握し、改善点を探し出し、見直し方法を考えていきます。キャッシュフロー表の中では、ライフイベント(入学、卒業、就職、住居購入など)を合わせて考えていきます。キャッシュフロー表は、作成時の予測に基づいて作成しているため、適宜見直しを行います。
 家計簿は、日々のものですが、それが積みあがると年間の収支が分かります。キャッシュフロー表は、家計簿の延長のようなものと言えるかもしれません。ただ大きく違うのは、家計簿は過去のもので、キャッシュフロー表は将来のものです。

 例えば親が60歳で、障がい者の子どもが30歳だとして、親の死亡時(例えば80歳)までのキャッシュフロー表を作成し、親死亡時(子ども50歳)からのキャッシュフロー表も作成します。何十年も先のことはわからないかもしれませんが現状わかる範囲で作成し、その後新たな情報が分かる都度修正しより精度が高いものに改訂していきます。

 下記にキャッシュフロー表の簡単な例を載せてみました。実際には1年ごとに作しますが、スペースの関係で5年後ごとにしました。また分かりやすくするため家族構成は親と子のみとしました。

 

   @2025年  A2030年  B2035年  C2040年
 親  55歳  60歳  65歳  70歳
 子(障がい者)  25歳  30歳  35歳  40歳
ライフイベント        
 収入(A)        
 支出(B)        
 年間収支A-B        
 預貯金残高        
   ライフプラン  遺言書作成 任意後見  グループホーム


   D2045年  E2050年  〜〜〜  F2080年
 親  75歳  80歳    
 子(障がい者)  45歳  50歳  〜〜〜  80歳
ライフイベント        
 収入(A)        
 支出(B)        
 年間収支A-B        
 預貯金残高        
@親55、子25 親(ご自分)と子のライフプランを立てる
A親60、子30 親の遺言書を作成
B親65、子35 親の判断能力がある内に、親の任意後見契約
C親70、子40 親の判断能力低下、子はグループホームへ
       (子独自のライフプラン作成へ)
D親75、子45 
E親80、子50 親死去
F子80    死去

 以下で、ライフプラン作成に関わってくるような項目を取上げてみました。ライフプラン作成上の一要素として参考にしてもらえれば幸いです。

 

税金・扶養共済・保険・各種手当

 このコーナーでは、障がい者に関わる税金や共済・手当などについて紹介しています。法令などの改正によって変わる場合がありますのでご留意ください。

1.税金
 障がい者に関わる税については、いくつかの配慮がなされています。障がい者本人に対する特例と障がい者を扶養してい る家族に対しての特例があります。

(1)障がい者本人に関するもの

@所得税: 障害者控除
 納税者本人が障がい者の場合、障害者控除として27万円(特別障害者は40万円)が控除されます。

A相続税: 障害者控除 
 相続人が障害者のときは、85歳に達するまで1年につき10万円(特別障害者20万円)が相続税から差引かれます。
      例: 障がい者が40歳のとき親が死亡した場合、
         450万円(=(85―40)×10万円)が差引かれます。

B非課税: 心身障扶養共済制度に基づく給付金の非課税
 地方公共団体の共済制度に基づき支給される給付金について、所得税が非課税となります。また、心身障害者 扶養共済 制度の掛金は、所得控除の小規模共済等掛金控除の対象にもなっています。

C非課税: 少額貯蓄の利子等の非課税 
 障害者等が受取る一定の預貯金等の利子等については、預入れの際に一定の書類を提出した場合、非課税となります。提 出書類については、障がい者であることを証明する書類などですが、各金融機関等にお問合せ下さい。

  (イ)マル優: 非課税貯蓄限度額350万円
          預貯金、合同運用信託、公社債等運用投資信託

  (ロ)特別マル優: 非課税貯蓄限度額350万円
            国債、地方債              

D非課税: 信託受益権の非課税 
 特別障害者(重度の障害がある)のために信託契約に基づき、特別障害者を受益者とする財産の信託があった場合、信託受益権のうち6,000万円まで(特別障がい者以外の者は3,000万円)の部分は、贈与税が非課税となります。この適用を受ける場合、事前に申告書を税務署長宛に提出する必要があります。
 上記は、所得税が中心の優遇制度ですが、住民税にも障害者控除があり、通常は26万円が控除され、特別障害者の場合は、30万円が控除されます。また、同居の特別障害者がいる場合は、配偶者控除又は扶養控除として、35万円が控除額に加算されます。

(2)障がい者を扶養している家族に関するもの

@所得税: 障害者控除
 親族(配偶者控除・扶養控除の対象者)が障がい者の場合、障害者控除として27万円(特別障害者は40万円、同居特別障害者は75万円)

A所得税: 配偶者控除、扶養控除
 親族(配偶者控除・扶養控除の対象者)が特別障害者で、納税者又は配偶者もしくは納税者と生計を一にする親族のいずれかと常に同居している場合は、通常の配偶者控除・扶養控除に35万円を加算した金額が、所得金額から差引かれます。


心身障害者扶養共済・保険

 心身障害者扶養共済制度は、各自治体の条例に基づいて実施しています。各自治体で  同様の制度ですが、ここでは東京都心身障害者扶養共済制度を例として考えてみます。加入者(保護者)が死亡又は重度障害になった場合、障がい者である子どもにに年金(一口当たり月額2万円)が終身支給されますので、年金保険と同じような考え方ができるかもしれません。

 共済加入の要件(加入者、心身障害者)や年齢による掛金・納付期間、支給要件、申込み方法など、各自治体のホームページなどで公開されている説明書を参考にして下さい。

 利用の判断は、それぞれの家庭の状況によって違うかと思います。保護者が早く亡くなった場合、心身障害者に年金が支給されますので、大きなメリットです。一方、月額の掛金は、家計負担となることも考えられます。

 任意の制度ですので、利用するかどうか迷われる場合は、生命保険との比較や考え方も ひとつのヒントになるかと思います。

 生命保険の必要性を考える場合、仮に保護者が亡くなった場合に残された者が困らないようにするにはどうしたらよいか?回答は、ライフプランを立てて、キャッシュフロー表等で「必要保障額」を把握するのが良いかと思います。すでに、資産が十分な場合や十分な生命保険等に加入している場合は、扶養共済の加入は必要ないことになります。保険の見直しと同じで、一般の生命保険を扶養共済へ変更する場合は考えられるかもしれません。ライフプラン上で扶養共済は、選択肢の一つとして考えることはできるかと思います。掛金や条件を比較して、それぞれの家庭の状況に合わせて選択することになるかと思います。
 
 保険には、一般の生命保険や医療保険に加入する場合と、障がい者向け保険というのもあります。障がい者自身が、通常の生命保険や医療保険に加入するのは、難しい場合が多いのですが、自閉症や知的障がい者を被保険者に限定したものがいくつか販売されています。被保険者が限定されている者は、通常、少額短期保険といって保険金額や期間が限られているものが多いので、必要性はそれぞれの状況に応じて判断するということになると思います。

各種手当・支援・割引制度など

@各種手当
 各自治体では、障がい者のいる家庭に対して各種手当を支給していますので、お住まいの市町村等の自治体へご確認下さい。
 特別児童扶養手当、児童福祉手当、児童育成手当(障害手当)、心身障害者福祉手当、 障害児福祉手当、特別障害者手当、重度心身障害者手当、医療費助成、交通費助成など、障がいの程度による支給対象や所得による支給制限、他手当と併給できない場合があり ます。
 自治体によって手当などの名称が異なる場合、各自治体で手当や支援に関することを冊子などにまとめている場合もありますので、お住まいの自治体にご確認下さい。

A障害者総合支援法による各種支援など
 障害者総合支援法の給付等を有効に利用できるケースも多くあります。利用者負担はありますが、利用できるサービスがあれば、市町村へご相談の上、利用申請を行って下さい。
 障害者総合支援法以外で、自治体独自で、日常生活に関する援助や医療や就労に関する援や助成がある場合もあります。各自治体で手当や支援に関することを冊子にまとめている場合もあります。
 自治体や福祉関連機関の支援を利用することで、親自身の時間をつくることができ、普段できないことをする時間に充てたり、気分転換をはかったりすることも可能かもしれ ません。
 ストレスをため続けることは、親と子ども両方にとってよくないことで、長い目で見れば、ライフプランにも悪影響を及ぼしかねないので、福祉サービスの利用の有無に限らず、普段 の生活上でも息抜きは大切かもしれません。
 障がい者に関する支援や法律に限ったことではないのですが、法律や自治体の条例が改正されることもよくありますので、市町村の広報誌などにも目を通すなど、情報収集は、継続的に行っておく必要があると思います。

B割引制度
 障害者手帳や愛の手帳などの利用により、JRや私鉄、バスなどの公共交通機関、その他レクリエーション施設などのような有料施設の割引など各種あると思いますので、有効に使うことができると思います。付き添いの方の割引などもある場合が多いので、利用施設の情報を入手して活動範囲を広げるのに役立ててください。
 障がい者の活動範囲は、限られがちですので、少しでも活動範囲を広げていくようにすれば、ライフプランを充実させることにつながります。

地域との関わり・相談相手を持つ

 障がい者のライフプラン考える上で、地域との関わりは、大変重要であると思います。これまでご説明した内容も、地域の自治体などに関わることがかなりあります。


 地域によって、福祉に関わるサービスや、利用の条件が違うこともあるので、その地域での情報を集め、地域での相談相手がいることが一番良いのではないかと思います。

 障がい者が、地域を中心に生活をしていくことを考えれば、市町村等の自治体、学校、福祉関連機関、ボランティア、病院、理髪店、スーパーなどは、ネットワークのような形で押さえておくと良いと思います。障がい児の場合、病院の診療や髪をカットするにしても、大変で時間もかかる場合も多いので、快く受けつけてくれるところは、ありがたいものです。

 地域の福祉に関する機関などとして、心身障害者福祉センター、民生委員、知的障害者相談員、社会福祉協議会、地域包括支援センターなど各種ありますので、その相談内容によって必要に応じて利用できるかと思います。  

 自閉症や知的障がい児(者)の障がいの程度が、人によって違うように、それぞれの家庭も状況が違い、様々な悩みがあると思います。

 障がい児(者)がいる家庭の場合、どうしても親が障がい児(者)といる時間が長くなります。自然と親の時間も制約され、ストレスも感じやすくなるかもしれません。家庭内でのコミュニケーションは、もちろん重要ですが、それに加えて相談相手がいれば心強いと思います。 

 子どもが小さいときであれば、特別支援学校や特別支援学級の保護者同士、また障がい者の親で組織されている会などの会員同士は、同じような悩みを持っていると思いますので、相談相手として良いと思います。自閉症や知的障がいでは、個別指導が必要なことからわかるように、その障がいの程度や特徴は人によって様々です。障がいの程度は違っても、障がいという枠の中で、共通する部分は多いと思います。

 また、学校に限らず、地域に障がい者が集まる場というのがあると思いますので、そういったところに参加するようにしていれば、そういった話をする機会も増え、自然と情報も集まってくると思います。

 なかなか情報を得る機会がない方の場合も、最近は自閉症や知的障がいに関する書籍や、インターネット上での情報も豊富にあるので参考になると思います。

 

遺言書・成年後見制度・自立支援事業

@遺言書

 遺言書は、やはりあったほうが望ましい場合が多いと考えられます。特に障がい者が相続人となる場合など、争いを防いで円満な相続としたいものです。

 障がい者が、相続人となる場合に、遺産分割協議をする場合などは、特別代理人などが必要になるなど手続き上、手間がかかることもあります。

 遺言書については、相続・遺言・後見のページに詳細がありますので参考にしてください。 

  遺言について詳しくははこちらへ⇒

A負担付遺贈
 親族や信頼できる誰かに障がいのある子の生活の手助けを頼むために「負担付遺贈」などを考える場合、遺言は必要です。財産の一部を親族に遺贈する代わりに、親亡き後、生活費を定期的に子どもに渡し、子どもの面倒を見てもらうなどの場合に考えられます。

 ただ、一方的に負担付遺贈をするとトラブルになる可能性もありますし、受遺者が遺贈の放棄をする可能性もありますので、受遺者の意向は確認し、負担内容などを明確にしておいた方が良いと思います。


 Bエンディングノート、サポートブック 

 「エンディングノート」も普及してきましたが、自分のこれまでの経歴や、死後の手続きなどの希望などを生前に書いておくことがあります。エンディングノートでなくても良いのですが、障がいのある子の性格や嗜好、病気のことなどを書いておけば、親亡き後に役立つことと思います。どうしても親と同居するケースも多く、親だけしか知らないことがある場合に役立つと思います。 

 障がいのある子どもを一時的に見てもらう(例えば福祉サービスを利用するとき)ときなどに使用する「サポートブック」も同じような意味があるように思います。サポートブックは、氏名、住所、連絡先、血液型、病気、食べ物の好き嫌い、趣味、どういう時にパニックが起こるかなどを記載しているので、これを必要に応じて改訂していけば、エンディングノートと同じような意味合いを持たすことができるかと思います。

C成年後見制度、日常生活自立支援事業
(成年後見制度)
 成年後見制度については、法定後見制度と任意後見制度がありますが、障がい者の子については、通常、法定後見の利用が考えられます。一方、障がい者の親については、任意後見を利用することが考えられ、親自身の判断能力がなくなる前に、任意後見契約をし、親自身への支援を準備し、任意後見人へ子どもへの支援にも関わってもらうようなことも考えられます。

 子どもに障がいがある場合も、意思能力がある場合は、子どもとの任意後見契約や委任契約も考えられます。子どもが未成年である場合は、親権に基づき、子どもに代わり任意後見契約を締結することも考えられます。また、遺言で、未成年後見人を指定しておくことも考えられます。

 成年後見制度の利用は、いくつかの利用方法がありますので、状況に応じて選択していくことになります。また、遺言書の活用は、後見制度をより有効にするために大切です。
 成年後見制度に関連して、後見制度支援信託という制度があり、後見人などによる不正を防ぎ、被後見人の財産も守るために設けられています。
 後見制度支援信託では、家庭裁判所が資産状況などから制度を利用するか判断し、利用する場合は、被後見人の財産の大部分を信託銀行に預け、信託契約を締結し、定期的に一定の金額が、後見人の口座へ振り込まれることになります。

(日常生活自立支援事業)

 日常生活自立支援事業は、地域福祉権利擁護事業(地権事業)とも言われ、地域の社会福祉協議会などが窓口となっており、認知症や知的障がいなどがあり、契約内容について判断能力を有している場合に、申請により利用することができます。

 内容としては、福祉サービスや行政手続きサービスの利用援助で、預金の払戻しや日常的金銭管理、通帳等の書類等預かり、定期的な訪問などです。利用料は、利用者が払い、1回あたり数千円の場合が多いようです。

 申請後に援助内容の確認や判断能力の判定などが行われます。「契約」になりますので、「判断能力」がないような場合は、利用ができないこともあります。

 自立支援事業では、できない内容(例えば資産運用、貴重品などの預り)もありますので、ご利用の時は、お近くの社会福祉協議会にご確認下さい。

 成年後見制度と日常生活自立支援事業は、両方を利用するケースも考えられます。成年後見人がいる場合、日常生活自立支援事業の利用は限定的になるかと思いますが、利用の必要性が高ければ両方の利用が可能なケースも出てくるかと思います。

D福祉型信託・遺言信託
 親亡き後に障がい児(者)の子どもに財産を渡していく方法として、福祉型信託や遺言信託の方法をとることも考えられます。
 委託者である親から受託者へ財産を委託し、一定の方法で受益者である障がい児(者)の子どもへ財産を渡していくという方法も有効な場合があります。

 「成年後見制度(法定後見・任意後見)」についてはこちらへ⇒

 

障がい者の収入(就労・年金等)

 障がい者の収入としては、就労による収入、障害年金、扶養共済、保険、親からの財産などが考えられます。障害年金については、成人し実際に請求し認定を受けるまでは分かりませんが、地域での支給状況(障がいの程度や就労の有無などによる支給の状況)も加味した上で予想し、ライフプラン上に計上しておくことになるかと思います。

 就労による収入は、一般就労でなく就労継続支援事業B型などの作業所に通う場合、少ないケースが多いかもしれません。共済や保険の場合は、ある程度、金額が予想(ただし、受給時期は未確定)できると思うのですが、就労による収入は、まだ就労していない場合などは予想がつきません。そういった場合は、地域での情報も考慮して、ライフプラン作成上は、手堅く見積もっておいた方が良いと考えられます。

 最近では、自治体等の就労支援や様々な支援事業によって、一般就労も増えてきているようですし、福祉施設から一般就労への移行も少しずつ進んできているようです。ジョブコーチといって、障がい者が職場で仕事に適応するための支援やコミュニケーション改善の支援などを行う制度などもあります。民間でも障がい者の就労を手助けしているところもあります。

 福祉施設などでの工賃の低さが問題となっていますが、工賃アップのための取組みなども自治体を中心に取組まれているところもあります。

 就労は、収入などの経済的な側面以外にもライフプランに大きく関わってきます。就労によって、生きがいを見つけることができるかもしれませんし、地域との関わりも増えるかもしれません。

 

その他ライフプランに関わる日常生活上のこと

@趣味(レクリエーション)、夢

 ライフプラン作成では、将来の目標や夢なども考慮して作成するのが望ましいと思います。障がい者の場合も、趣味を持っていることもあるかと思います。障がい者である子が、将来、笑顔で充実した生活を送るために、趣味や夢なども念頭において将来の選択をしていくことがライフプラン作成では必要かもしれません。

 趣味と言えるものがなくても、休日に好きなことができ、地域のレクリエーションやスポーツなどに参加できれば、生活も充実させることができます。

 ライフプラン作成上、趣味や夢を数字で表すことは難しいのですが、大切な部分です。

 各自治体ごとに「障害程度別該当事業一覧表」のようなものがあって、レクリエーション施設の
割引、公共交通機関の割引、公共料金の免除、年金の受給、医療支援などが表形式で整理されて
おり、地域での活動の幅を広げることに役立つと思われます。

A兄弟姉妹
 障がい児(者)に兄弟姉妹がいる場合、兄弟姉妹への配慮などが必要になってくる場合があります。例えば、同じ学校に通っている場合もあるでしょうし、兄弟姉妹と同じ地域の行事やレクリエーションに参加するなど、様々な場合が考えられます。
 障がい者と兄弟姉妹が大人になってからの関わり方がどのようになるのか、ある程度考えておくと、ライフプラン作成上良いかもしれません。遺言・後見のところで負担付遺贈について説明したのですが、一方的に、親亡き後のことを兄弟姉妹に頼むのも難しいかもしれません。それぞれの家庭によって、事情が違うので、その事情に応じて判断していくことになるかと思います。障がい者の子どもができるだけ自立して生きていけるようなれば良いのですが、子どもがある程度大きくなるまでは、どの程度まで自立してできるかどうか判断するのは難しいかもしれません。

 

終の棲家(ついのすみか)の選択

 終の棲家については、ライフプランにも大きく関わるのですが、どこで人生を終えたいのかによってライフプランが変わってきます。親の場合と子どもの場合を想定し、子どもの場合、できれば子どもの希望や性格などを考慮して、住むところを考えていくのが望ましいと思います。

 自宅、グループホーム(共同生活援助)、ケアホーム(共同生活介護)、入所施設などいろいろありますが、親が元気なうちは、子どもと住むケースも多いと思います。また、地域によって、選択が限られてしまう場合もあるかもしれません。また、経済的なことも考慮しながら、障がいのある子が、できるだけ充実した生活が送れるところが良いと思います。子どもが小さい場合などは、すぐに想定することは難しいと思いますので、地域での情報を集めて、大体の見当をつけておく程度になるかもしれません。

 将来の住む場所が想定されると、生活費なども概算で出すこともできます。地域で実際に利用している方に聞くのが一番正確にわかると思います。例えば、グループホームの利用料はいくらだとか、どんな生活をしているかなどを聞いてみるのが良い方法だと思います。

 障がい者によっては、自立して生活したいと思っている人もいるでしょうし、誰かに頼りたいと思う人もいると思います。自立したいと考えても実際には困難なケースもあると思いますし、社会福祉協議会などで行っている日常生活自立支援事業を利用することで可能になる場合もあるかもしれません。

 全ての人にこの住居が良いと言うことは難しく、それぞれによって状況が違うと思いますので、個別に判断することになると思います。





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