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相続・遺産分割相続手続き・遺産分割協議

 相続は人の死亡によって開始しますので、自分の生存中は関係ないとも言えますが、相続について知っておくことで、遺言書や終活に反映させることができ、無用なトラブルを避けることにつなげることも出来ます。

相続手続きの流れ  〜円滑な相続手続き〜

 相続手続きの大まかな流れは以下の通りとなります。相続手続きと並行して葬祭などが行われますがここでは割愛しています。

@相続の開始: 
 人の死亡によって相続が開始
A相続人の確定: 
 戸籍等を取寄せ相続人の調査を行い、遺言書の有無・内容の確認等により相続人の確定。遺言書の内容確認について、公正証書遺言以外の遺言の場合、家庭裁判所の検認が必要。
B相続財産の把握・財産目録の作成:
 現金・預金・有価証券・不動産などの財産を把握し財産目録を作成。
C遺産分割協議書の作成
 遺言書がない場合、遺言書と違う遺産分割を相続人全員の合意のもと行う場合は、遺産分割協議を行い遺産分割協議書作成。
D遺産の分割、各種名義変更
 遺言書や遺産分割協議書に基づいて、遺産を分割し、名義変更
 主要な名義変更は、預金、保険、自動車、土地、建物、有価証券など。

*相続財産が、相続税法で定める金額を超える場合は、相続税の申告を相続が開始してから10ヶ月以内にしなければなりません。また、相続開始から4カ月以内に準確定申告をしなければなりません。

 相続人の確定と相続財産の把握は、相続開始後の遺産分割協議だけでなく、遺言書を作成する段階でも必要です。遺言書に正確な相続人と相続財産の記入があれば、残された相続人の手間も省くことができます。

 遺言書がない場合、相続財産確定の作業は時間がかかることが多いものです。遺言書を残すことは、相続人などへの配慮と言えるかもしれません。遺言者は、相続人が誰か、自分の財産の所在・金額等を誰よりもよく知っています。遺言者は、事前に余裕を見て自分の財産を正確に把握すれば、相続対策を考えることができますし、どのように財産を分ければ円満な相続に結びつくのか考えることもできます。
     

 

遺言執行者と相続手続き  〜スムーズな相続手続き〜

 遺言書に遺言執行者を指定していると、遺言の内容を実現するため手続きがスムーズにいくことが多くあります。

(遺言執行者の役割)

 遺言執行者は、相続人全員の代理人として財産目録を作成し、財産の管理、遺言の執行に必要な手続きを行っていきます。

 遺言執行者の指定
は、遺言でしなければなりませんが、遺言で決めていない場合などは、相続人等が家庭裁判所に申し立てて、遺言執行者を選任してもらうことができます。また、相続人が遺言執行者になることも可能です。

 遺言執行者を遺言で指定しても、受諾してくれない可能性もあるので、事前の了解はとる方が良いと思います。また、遺言者より先に遺言執行者が死亡してしまうこともあるので、よく人選し状況に応じて、複数の遺言執行者を指定しておくことも考えられます。

 遺言執行者は、遺言の内容を実行していきますが、遺言書に推定相続人の排除や認知があると、その手続きも行います。排除は、相続人の資格を剥奪することで、子どもの認知は、生前、認知届けを自治体に提出してできますが、遺言
でも可能で、遺言での認知は、遺言執行者が就任から10日以内に手続きを行います。

 相続が開始すると様々な手続きをする必要があります。被相続人が所有していた財産によっても違うのですが、入手必要な書類の数、名義変更などの各種手続きの数、各種届出の数、法要等のことを考えると、100近い種類があるかもしれません。それを一つ一つ手続きしていくことはかなり大変なことです。

遺産分割協議書の作成   〜円満な遺産分割協議〜

 遺言がない場合は、相続人間で遺産分割協議が必要になります。遺言がある場合も、故人の遺志をできるだけ尊重すべきですが、相続人全員の合意があれば、遺言と違う遺産分割をすることが可能です。

 民法906条では、遺産分割の基準として「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」とあります。
 
遺産分割の方法としては下記のような方法があります。どれか特定の方法でなく、組合せの方法がとられることもあります。それぞれの方法に一長一短があるので、財産の種類や相続人の状況などによって、どの方法が最も適しているのか判断することになります。

(遺産分割の方法) 
     

@現物分割
 不動産、現金、株式など財産ごとに分ける方法です。
A換価分割
 不動産や株式を売却し、その代金を分ける方法です。
B代償分割
  不動産など分割しにくい財産を特定の相続人が取得し、他の相続人に金銭を交付する方法です。
C共有分割
  相続財産を相続人が共有し、共同利用や、相続後に売却する場合などに使われる方法です。

 

遺産分割協議でもめると大変

  最近では、遺産分割協議において、相続人が権利主張をすること場合も多く、遺産分割協議でもめる原因となることもよくあります。民法906条では、一切の事情を考慮するとありますが、いざ遺産分割となると、相続人がそれぞれの利益を主張しがちになることもよくあります。

 遺産分割協議でもめると、結果的に時間や労力を伴い、精神的・肉体的にもきつく、税務上の優遇を受けられなくなるなど不利になることが多く生じます。どうしても遺産分割協議がまとまらなければ、家庭裁判所に調停の申立てをすることができ、それでもまとまらなければ、審判
に移行します。
 
 相続が開始し、相続税の申告・納付
をする必要がある場合、10ヶ月以内にしなけれ税制上の優遇(配偶者に対する相続税の軽減や小規模宅地等の評価減の適用など)を受けられなくなります。10ヶ月を過ぎる場合、法定相続分で申告・納付し、申告期限の翌日から3年以内に分割し更生の請求をする方法は、ありますが、遺産分割協議は、長引くともめることが多いので、早くまとめる方が得策です。

 遺産分割協議がまとまり遺産分割協議書が作成されますが、この協議書は、各種名義変更や手続きに必要ですので、協議が長引くと手続きができなくなります。分割協議では、全員の合意が必要ですが、分割協議の方法は、全員が一堂に集まることができなければ、書面などによっても行うことも可能です。
  




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